はじめに
1作目のデスストランディング(以下デススト)は、今も変わらず自分にとってマスターピース級の作品だ。
PS4で発売日に買ってすぐにクリアした。PS5のディレクターズカット版も買って2周目もやった。
広すぎるオープンワールドおつかいゲームが「移動ゲー」と嫌われる中で、敢えてその移動自体をゲームの中核としてしまう斬新さ。それでいてゲーム体験も飽きさせず、ストーリーも引き込まれる。
たくさんゲームをやる方ではないが、自分の中では間違いなく名作のひとつに数えられる作品だ。
だからこそ、2にも期待していた。小島秀夫監督は今度はどんなサプライズを見せてくれるのか。どんな新しい体験をさせてくれるのか。ワクワクしながら発売日を迎えた。
結論から言うと、デスストランディング2を自分は楽しめなかった。ゲームクリアしてエンディングまで見たが、それは「やりたくてたまらないから」ではなく、「買ったからやらなきゃ」という義務感で走り切ったに過ぎない。最後に何かあるかも、という小島監督への期待感もあった。
この記事は、人気作を好きな人を否定したいわけではない。Metacriticのメディアスコアは89点、ユーザースコアも8.7と世の中の評価は非常に高い。ただ、自分は楽しめなかった。同じ思いの人がどこかにいるかもしれないと思って、今更ながら正直な感想を書くことにした。
サンクコストで走り切ったエンディング
プレイ中、「早く続きが見たい」と思うことがほとんどなかった。ゲームを起動するたびに、どこか億劫な気持ちがあった。でも買ってしまったし、前作があれだけ好きだったし、途中で投げ出すのも悔しい。小島監督は何か仕込んでるに違いない。そんな義務感と淡い期待だけが自分をエンディングまで連れていった。
友人に「面白かったらやるから教えて」と言われていたが、クリア後に伝えたのは「買わなくていいよ」の一言だった。
サムはなぜ歩いているのか
冒頭での悲劇で「やめてくれよ」と思った。子持ちにはツラい。
そこからサムは心の痛みを克服するため、一度旅をすることに意味があると周囲にそそのかされて歩き始めるのだが、サム個人の想いとして、なぜこの旅をしているのかがずっとピンとこなかった。
前作には「ルーを守る」「分断されたアメリカを繋ぐ」という明確な軸があった。サムの足取りは力強く、一歩一歩に意味があった。2にはそれが感じられなかった。ゲーム全体の大義はあっても、サムが置き去りにされている。旅に没入できなかった。
全部1で見た景色だった
配達して、過去に飛ばされて、大型の敵と戦って。このテンプレートが延々と繰り返される。運ぶこと自体はいい。そういうゲームだから。でも全体のサイクルが前作とまったく同じで、新鮮さを感じられなかった。
プレイ中ずっと「これ、1で見たな」という感覚がつきまとっていた。
加えて個人的にストレスだったのが、ステルスの難しさ。敵が異様に視力が良いのだ。「その距離で気づく?」という位置から発見されることが頻繁にあって、理不尽さを感じた。みんな視力2.0はあると思う。自分が下手なだけかもしれないが、メタルギアや前作もここまでシビアじゃなかった。もう少しステルスできた。
小島監督ファンディスクとしてはいいのかもしれない
プレイ中にずっと感じていたのは、「小島監督はこれがやりたかったんだな」という空気だ。ムービーには小島監督らしさを感じる。メタルギアのセルフオマージュも散りばめられている。小島監督の「お友達」もたくさんでてくる。小島監督ファンディスクとしてはいいのかもしれないが、単体のゲームとしてそれは求めていなかった。
唯一「ここは良かった」と言えるのはグラフィックとロードの速さ。映像は確かに美しかった。ただ、それだけでゲーム体験全体を支えることはできない。
小島秀夫監督という人のすごさとデススト2
自分が小島監督の作品に期待しているのはサプライズだ。予想を超えてくる体験。「そう来たか」と思わせる仕掛け。
小島監督は、やらせたいゲームシステムが先にあって、そこにストーリーのイメージを載せるのがとんでもなく上手い人だと思っている。言ってみれば意味付けの天才だ。だからこそメタルギアも「後付け」であそこまで続ける事ができた。誉めている。
デススト1のラストもまさにそうだった。北米大陸を西へ渡り切ったサムに、もう一度東海岸に一人で戻らせたい。プレイヤーに今まで繋いできた道を振り返らせたい。だから「自分自身を配達する」という最後のミッションが生まれる。ゲームとしてやらせたいことが先にあって、そこにストーリーが完璧に噛み合っている。これが小島秀夫のすごさだと自分は思っている。
だから2にも同じことを期待していた。今回はどんな新しいゲームシステムがあって、そこにどんな意味が載ってくるのか。どんなふうにパズルを完成させてくるのか。
たとえばオーストラリアが舞台なら、最後にエアーズロックで何か特別なイベントがあるんじゃないかと勝手に期待していた。
でも、何もなかった。
新しいゲームシステムがないから、ストーリーも前作の焼き直しになる。ゲームとストーリーが噛み合って生まれるサプライズ、あの小島マジックが今回は不在だった。少なくとも自分にはそう感じた。これが自分にとって一番の失望だった。
おわりに
デスストランディング2を楽しんでいる人はたくさんいるし、世の中の評価が高いことも知っている。この記事は、そういう人たちの感想を否定したくて書いたものではない。
ただ、前作を心から愛していたからこそ楽しめなかったという人が、自分以外にもいるんじゃないかと思った。 もしそうなら、あなたは一人じゃない。それだけ伝わればいい。
それはそうと、冒頭の赤子をだっこして山道を歩かせるのは鬼畜さを感じた。子持ちにはツラい。これは誉めている。